『グリーンブック』
実在した黒人ピアニストと彼の運転手を勤めたイタリア系白人の関係を基にしたロードムービー+コメディ。
クラッシックの専門教育を受け、教養にも富む黒人ピアニスト ドン・シャーリー。
演奏ツアーの運転手としてクラブ コパカバーナで用心棒をしていたトニーを雇う。
肌の色だけでなく生まれ育った環境、主義主張、嗜好にいたるまで何もかも違う二人が有色人種が合法的に差別されていた時代の南部アメリカを回るのだから決してノントラブルで済むはずが無く、各地で大小さまざまな問題に遭遇する。
そんな旅を経て2人の友情が深まって…、というストーリー。
正反対の2人がバディとなって旅をするという設定もオーソドックスなものだし、ストーリーの流れも割とシンプル、最後は二人でハッピーエンド~と素直に楽しめる内容だがこれをポリティカルコレクトネスやブラック・ライヴス・マターといった時代に鑑賞するとどうしてもコメディには不要なシリアスな側面で観てしまいがちになってしまう。
ただそういった微妙なバランスで成り立っている作品だからこその評価(アカデミー賞)ともいえるのだろうか。
きっとこれが80年代の映画ならビバリーヒルズコップのような純粋なコメディとして賞レースとは無縁の(それでも映画史に残る)作品になっていたのだろうかと空想する。