~この世界を素晴らしく~

本を読み、映画を観て、音楽を聴き子供を育てる。「どこにでもいる誰でもない私」の日常の記憶。

『メッセージ』

原作にあたるテッド・チャンの『あなたの人生の物語』はずいぶん前に読んでかなり好き(テッド・チャンは全般的に好き)な小説だったので割と期待して鑑賞。

 

あなたの人生の物語

あなたの人生の物語

 

 

 

…難しい、映画として面白かったかどうかの判断が。

 

先に原作を読んでいて、特に今作のような物語の大きな要素であるネタバレを知っている場合の映像作品全般に当てはまる現象かもしれないが、結末が分かっているが故にどうしても「どうやって映像で表現している?」的な観かたとなり、いわゆる”まっさらな”状態で観る映画とはそもそもの視点が違ってしまう。

 

落ちも原作も知らない状態で観た場合どうなのか?は他人の評価を参考にするしかないのだが、ネット上の評価のなかでおそらくその様な方たちのレビューを見るとわりと賛否が割れている印象。

 

確かに原作で感じた伏線回収の”鮮やかさ”は映画ではあまり感じなかったかもしれない。

 

特に監督のドニ・ヴィルヌーブは他作品でも割と説明的セリフ・場面が少なく、あくまでも映像表現で物語を紡いでいくタイプの為、特に今回のような作品の場合はわかる人・置いて行かれる人を分けてしまうのかもしれない。

 

しかし映像だからこその表現としては特に主人公の母としての娘に対する愛情表現は原作よりももっと共感できるシーンになっていると思う。(もちろんここでも”愛している”などの直接的セリフ無しの表現として)

 

テッド・チャンの書くSF全般に感じる特徴としてSFものにありがちな「主人公が世界を救う!」といういわゆるハリウッド映画的なプロットは無く、現実とはかけ離れた設定・世界にいる人々でも我々と同じように家族を想ったり、傷ついたりして人生を歩んでいるという話が多い。

 

そのあたりの表現がこの映画でも上手くいってるなぁ、と思っていたので映画終盤の米中対立を絡めたそれこそハリウッド的展開はあくまで原作関係なく”SF映画”を観に来ている観客に向けたものなのか?と思ってしまった。(原作にもあんな展開あったかな?記憶にないので今度読み返してみよう)

 

 

メッセージ (字幕版)

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  • 発売日: 2017/07/21
  • メディア: Prime Video
 

 

あと音楽が聴いたことあるな~と思ったら最近よく聴くヨハン・ヨハンソンやマックス・リヒターなどのポスト・クラシックが全面的に使われていて少しびっくり。

 

 

 

オン・ザ・ネイチャー・オブ・デイライト

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