~この世界を素晴らしく~

本を読み、映画を観て、音楽を聴き子供を育てる。「どこにでもいる誰でもない私」の日常の記憶。

『ダンケルク』

クリストファー・ノーラン監督作品はこれで6本目の視聴。(ダークナイト三部作、インセプションインターステラー

 

 

ダンケルク(字幕版)

ダンケルク(字幕版)

  • 発売日: 2017/11/10
  • メディア: Prime Video
 

 

 

ノーラン作品で最短の上映時間。(約100分。これまでは140~160分程)ただしセリフは最も少なく、最小限の会話と映像だけでスリリングな状況を表現するスタイル。

 

これまではいわゆる「映像で魅せるパート」と「ストーリーを進行させるパート」に分かれていた過去作と比べると今作は映画全てが前者のみで構成されているように感じた。(例えるならダークナイトの冒頭の銀行強盗シーンがずっと続いているようなイメージか。)

 

セリフが少なく、また各キャラクターを掘り下げるような描写も無い為、普通の映画のような「登場人物に感情移入しながらストーリーを追う」といった観かたではなく、「映画の中の状況に自分も居る」ような感覚となる。

 

撤退戦という混乱に放り出された観客は主人公とともに戦争という無慈悲な状況をさまよい続け、画面に映る人物の誰が助かり、だれが助からないのかも分からない。

 

戦場における無残さや恐怖の演出においては過去の戦争映画に多いむごい描写(残酷・流血等)はこの映画では少なく、その代わり戦場の音によってそれらを表現しているように思う。

 

どこからともなく突然に銃撃されるときの銃声や空から来る爆弾の落下音など、唐突に兵士たちに襲い掛かる恐ろしい音たちに見ているこちらも彼らと同じように首をすくめたくなる。

 

また異なる3視点(救助を待つ兵士の1週間、救助に向かう民間船の1日、上空で支援するパイロットの1時間)を並行に展開しながら最後にすべてを交差させるストーリーはこれまでも割とややこしい話(インセプションインターステラー)を得意とするノーラン監督ならではと感心。(各視点のストーリーが徐々に重なるところで映画全体のクライマックスをうまく演出している。)

 

毎回ノーラン作品を観て思うのは「IMAX劇場で見ておけばよかった」と後悔させられること。それだけ映像がすごいということなだけど…。

 

なかなか劇場に行けない子育て真っただ中の私は間もなく公開の次作『テネット』を大きなスクリーンで観られるだろうか?