~この世界を素晴らしく~

本を読み、映画を観て、音楽を聴き子供を育てる。「どこにでもいる誰でもない私」の日常の記憶。

『LIFE 3.0 人工知能時代に人間であるということ』 マックス・テグマーク

 

 

 

MIT教授で安全なAI研究を推進する団体の設立に関わった著者による「人間を超える知能を持ったAIの誕生は人類に何をもたらすのか」と「どうしたら安全な超知能AIを開発できるのか」についての考察。

 

AIの未来に関する議論に頻出する単語(生命・知能・記憶etc.)について定義を規定した上で現在の理論で予測可能な複数の仮設を検証する。

 

また超知能な存在が人類に及ぼす影響についても推測可能なすべてのパターンについて考察し、考えられる悪影響を回避する為に今後なにをすべきかを提案する。

 

人間よりも賢くなる可能性をもつAI技術は人類の幸福の最大値を増大させる可能性と同時に人類を破滅に追いやる可能性をもつプロメテウスの火だ。

 

かつてその言葉で例えられた原子力を超える程の影響力を持つかもしれない超知能をいかに扱うべきか?(あるいはそれを扱う前に人はどうあるべきか)を読む人に問う。

 

AIが知能爆発を起こす過程をシミュレートするストーリーや超知能が発生した場合の人類の未来図についてはSF設定の元ネタとしても読む事が出来るし、どのような目標をAIに設定すれば良いか?を考える章では哲学的テーマを掘り下げる。

 

また生命・知能とは?を考えながら宇宙の概念にまで及ぶ考察は(筆者の専門分野でもある)物理学や宇宙論にまで広がっていく。

 

人類の運命を左右する可能性のある技術についての研究は一部の研究者だけでなく、より多くの人たちが参加する必要があり、その入り口として書かれた本。

 

AIに関する議論が将来の私たちを分断する(推進派vs反対派のような)テーマに陥る事無く、人々を結束させるテーマ(未来とは?幸福とは?)になることを願う。

 

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「その本どんなおはなし?」と聞かれてAIの怖さの例えとして「ドラえもんのび太を殺しに来たロボットだったら~」と答えて娘の心に暗い種をまいてしまい少し後悔